「コンテンツマーケティング」や「オウンドメディア」といったキーワードとともに、記事や動画などのWebコンテンツをいかにマーケティングに活用するかが話題に上るようになって久しいです。

コンテンツマーケティングの現在で共通してよく話題になる課題は、「コンテンツの価値をどうやって測定するのか?」です。

数あるマーケティング施策の中でも、コンテンツの価値や施策の成果を定量的に計測するのは難しいです。

例えば、検索流入数などのSEO的な観点からだけ分析しても、それがユーザーの行動にどう影響したり、どの程度ビジネスに貢献したりしているかは未知数です。ユーザーの反応を知るという意味ではSNSのシェアやいいね!の数も参考になりますが、SNSの世界で目立つことと、ビジネスが成功することは必ずしも一致しません。コンバージョンへの貢献だけで評価しようとしても、現実的には多種多様なコンテンツの閲覧・視聴がコンバージョンに間接的な効果を及ぼしていたり、複雑な経路や一定の時間を経たりすることが多いため、コンテンツ単位で貢献度を測定するのは難しいです。

コンテンツの価値の測定方法について定まったセオリーは無く、みな試行錯誤しながら進めているか、あるいは諦めている人も多いのではないでしょうか。とはいえ、実務的には、施策のROI(投資対効果)を算出するために、何らかの定量的な評価をする必要があります。

私が測定方法を考える際に現時点での指針として採用しているのは、以下のフェーズごとに測定する方法です。コンテンツが一番最初にユーザーの目に入るところからコンバージョンが発生するまでの各フェーズで指標を決めて測定します。どれか1つの観点に絞って評価をするのではなく、ケースに応じて1~6までのフェーズを多角的にチェックすることがポイントだと考えています。

Webコンテンツの価値の測定

なお、コンテンツが記事であっても動画あっても、あるいはその他のフォーマットであっても、測定する指標が変わるだけで本質は変わりません。本記事の考え方は、どんなフォーマットのコンテンツにも適用することができます。

以下では順番に説明していきます。

1.コンテンツの露出

検索結果やSNS、動画サイト、その他のサイトで、コンテンツのリンク・導線がどの程度露出したか、ユーザーに閲覧されたかを指します。

記事コンテンツの露出の指標例

・Web検索結果での表示回数
・SNSのシェア数・インプレッション数

動画コンテンツの露出の指標例

・Web検索や動画サイトの検索結果での表示回数
・動画サイトのレコメンドを通じた露出数

2.コンテンツへの流入

前項の露出を通じて、コンテンツ自体にどの程度の流入があったかを指します。

コンテンツの見出しやサムネイルでユーザーを惹きつける力、また露出する文脈の一致度合いが関係します。

コンテンツへの流入の指標例

・Web検索結果・動画検索でのクリック率
・SNSその他サイトでのクリック率
・レコメンド枠のクリック率

3. コンテンツの消費

コンテンツがどの程度、読まれたか、視聴されたかを指します。

コンテンツそのものが持つ有用性や面白さが問われます。

記事コンテンツの消費の指標例

・記事ページの滞在時間
・記事の読了率(ページの最後まで読む割合)
・関連記事への誘導数

動画コンテンツの消費の指標例

・動画の再生率
・関連動画への誘導数

4. コンテンツへのエンゲージメント

コンテンツへの心理的な反応がどの程度あったかを指します。

ユーザーの心理的な反応を引き起こす力が問われます。

コンテンツへのエンゲージメントの指標例

・高評価やシェアの回数
・コメント数
・購読申し込み数・チャンネル登録数
・コンテンツへのリテンション(再訪)率

5. コンバージョンポイントへの送客

コンテンツの消費の結果、コンバージョンポイント(主に、コンバージョンが発生するWebページ)への送客をどの程度行えたかを指します。

コンテンツが、いかに供給側の目的の方向へユーザーを動かす力を持っているかが問われます。

なお、広告メディアの場合は前々項のコンテンツの消費がそのままコンバージョンポイントになることがあります。

コンバージョンポイントへの送客の指標例

・CTAのクリック率
・関連ワードでの検索の誘発数

6.コンバージョンの発生

コンテンツが目指すコンバージョンがどの程度、発生したかを指します。

コンバージョンには、購入、申し込み、登録、シェア、フォロー、ダウンロード、広告のクリックなど様々なパターンがあります。

コンバージョンの発生の指標例

・コンテンツ接触有セグメントのコンバージョン数
・LPのCVR

以上の通り考え方をまとめてみましたが、いかがでしたしょうか。挙げた指標はあくまで代表的な例であることと、ケースによって同じ指標を別の目的で利用することもあります。あくまで例として捉えていただければ幸いです。