SEO(検索エンジン最適化)を行う上で、 Google検索エンジンの歴史を理解しておくことはとても重要です。

この記事では、Google検索エンジンの歴史のまとめ、つまり、Googleがどのようなビジョンのもとに、何を目的とし、どのように検索エンジンのアルゴリズムのアップデート(更新)を行ってきたかを整理しました。

最近はユーザーがWeb検索ではなくSNSやYouTubeで情報検索を行うことも多くなってきましたが、まだオンライン全体の傾向としてはWeb検索の市場が大きく、多くの企業にとって最も大きなチャンスが眠っていると考えられます。(SNSやYouTubeについてはまた別の機会に触れたいと思います)

SEOとは、Googleの思想とアルゴリズムを理解すること

日本国内の検索サービスは、GoogleとYahoo! JAPANの2トップ体制が長く続いています。 現時点(2020年4月)で、GoogleとYahoo! JAPANだけで国内の検索サービスのシェアの9割以上を占めています。

かつてYahoo! JAPANは、自社の検索サービス向けに独自の検索技術であるYST(Yahoo Search Technology)を使っていましたが、2010年にGoogleの検索エンジンに切り替えました。そのため、検索エンジンで上位表示をするためには、基本的にGoogleに向けた対策を行えばよいことになります。

Googleは、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにする」というミッションを掲げ、世界最高の頭脳を集めて検索エンジンのアルゴリズムを磨いてきました。

一説には200以上のアルゴリズムが常に稼働していると言われており、アルゴリズムに対して大きなアップデートが行われると、多くのWebサイトの検索順位が急変動し、企業の命運まで左右されています。

Google検索アルゴリズムの重要アップデートの一覧

ここからが本題です。

Google検索エンジンのアルゴリズムのアップデートは、大小様々なものが毎日のように行われています。特に抑えておきたい重要なアップデートは、「~アップデート」と名称のついた、大型のものや、新規性の高いものです。そのようなアップデートはSEOの議論の中に登場することも多いため、SEO関係者なら1つ1つの背景や意味の概要を理解しておきましょう。

以下では、そのような重要なアップデートを順番に紹介していきます。

初期のアルゴリズム(創業~)

Googleの初期のアルゴリズムは、学術論文の参照関係をモデルにしたもので、より多くのページから被リンク(バックリンク)を獲得しているWebページほど高く評価するという、ごく単純なものでした。

そのため当時のウェブマスターは、被リンクを増やすために自分で新たにサイトを立ち上げて上位表示させたいページにリンクをしたり、自社サイト内に類似ページを多数作って上位表示させたいページへのリンクを増やしたりといった、SEOのための無意味な施策を行っていました。いずれも文章の質は悪く、どこかからコピペしてきたものをそのまま公開することが平気で行われていました。

まだGoogleのアルゴリズムの精度が悪かったため、Yahoo!が提供していたような、Webサイトを人手で収集したディレクトリ型検索エンジンの方を信頼するユーザーも多い時代でした。

パンダアップデート(2011年~)

初期のアルゴリズムの問題に対処するため、Googleは2011年からパンダアップデート (Panda Update) を開始し、コンテンツの品質に関する評価を厳しくしました。

パンダアップデートとは、一言で言えば「コピペ禁止」です。他のWebサイトから文章をコピーしただけの、独自性の低いWebサイトの検索順位が下げられました。

パンダアップデートにより多数のWebサイトの順位が下がりましたが、オリジナルな一定以上の量の文章を掲載しているWebサイトはきちんと評価されるようになり、ウェブマスターの間で品質に関する認識が広がるようになりました。

ウェブマスターがパンダアップデートに対して考えるべきことは、コピペを避けてオリジナルな文章を書くよう注意することです。特に外注先等に文章を書いてもらった場合はコピペが混ざることがあるので要注意です。Web上でコピペをチェックするツールなども活用できます。

なお、パンダアップデートに対するアドバイスとして、Googleは「良質なサイトを作るためのアドバイス」を公開しています。

ペンギンアップデート(2012年~)

Googleはさらに検索サービスの品質を向上させるため、2012年からペンギンアップデート(Penguin Update)を開始しました。

ペンギンアップデートは、過剰あるいは不正なSEO施策を行う、「SEOスパム(ブラックハットSEO)」に対処するためのもので、以下の2つの変更が主となっています。

・キーワードを大量に詰め込んだWebぺージの評価を下げる

特定の人気キーワードで上位表示をすること狙って、ページ中に大量のキーワードを掲載する行為がよく行われますが、そのような行為を行っているWebページの評価を下げました。ユーザーに目に触れる場合はもちろん、フレームやCSS、JavaScript、またALT文などを使って隠しテキストを詰め込む行為もNGとなります。

・アクセスの伴わない被リンクを集めたWebぺージの評価を下げる

SEO用のサイトを大量に作ってリンクをし合うこと(リンクファーム)を行っているWebぺージの評価を下げました。自然な被リンクであれば実際のユーザーのアクセスが伴うはずですが、SEOスパムによって作られた被リンクは、質の低いページからのリンクの数が増えるだけで、アクセスが伴いません。Googleは、その特許情報などから、被リンクの増加率と、アクセスの増加率を比較してリンクの質を判断していると言われています。

GoogleがWebぺージの品質をチェックする際の項目には、上記の2つ以外にも他にも様々なものがあります。Googleの検索品質ガイドラインには、その詳細な内容が詳しく公開されているため、SEO関係者なら必ずチェックしておきましょう。

また、ペンギンアップデートの内容については、Googleは「良質なサイトをより高く評価するために」で触れています。

ヴェニスアップデート(2012年~)

2012年から開始したヴェニスアップデート(Venice Update)によって、Googleはローカル検索へのサポートを開始しました。

ヴェニスアップデートが行われる前は、全国どこで検索しても同じ結果が表示されていましたが、ヴェニスアップデート以降は、ユーザーの位置情報(IPアドレスなど)のデータを使い、ユーザーの所在する位置に合わせて検索結果を表示するようになりました。

例えば、地名のキーワードを含めず、「美容院」というキーワードだけで検索した場合、東京のユーザーには東京の美容院が、大阪のユーザーには大阪の美容院が表示される、といったことが起こるようになったのです。

ヴェニスアップデートは、ユーザーが行う全ての検索に対して、同じように影響するわけではありません。Googleはユーザーの検索キーワードを通じて、地域性を反映した結果を表示するかどうかを判断します。キーワードの例としては以下のようなものがあります。

地域性が高いキーワード(ヴェニスアップデートが適用されるキーワード)の例:「美容院」、「歯医者」、「整体院」、「そば屋」、「コンビニ」、「行政書士 相談」、「自転車 修理」

地域性が低いキーワード (ヴェニスアップデートが適用されないキーワード) の例:「オムレツ 作り方」、「腰痛 原因」、「任意整理とは」、「自転車 練習」

ヴェニスアップデートに関しては、Googleから「Search quality highlights: 40 changes for February」で公式にアナウンスされました。

パイレーツアップデート(2012年~)

パイレーツアップデート(Pirate Update)は、インターネットで横行している著作権違反に対して、Googleが対処を行ったアップデートです。

Googleは、DMCA(Digital Millennium Copyright Act = デジタルミレニアム著作権法)に違反するWebぺージの申し立てを受け付けています。何度も申し立てがなされ、その内容が正当だと判断されたWebぺージは、パイレーツアップデートによってGoogleの検索サービスから排除されるようになりました。具体的には、以下のような措置が行われます。

・違法サイトの検索順位が下げられる。
・音楽や映画、書籍などのコンテンツを検索したとき、正当な著作権者のものだと確認が取れているWebサイトの広告だけが表示される。
・検索欄のオートコンプリート機能(何らかのキーワードを入れると、関連するキーワードが自動的に表示される)から、違法サイトが表示されるキーワードを排除する。

パイレーツアップデートによって、ウェブマスターは高いモラルが求められるようになりました。自分が著作権を侵害してはいけないことはもちろん、著作権違反をしているコンテンツを、誤って自社のWebサイトの中に掲載してしまわないように注意する必要があります。外注先に制作してもらったコンテンツや、UGM(ユーザー生成コンテンツ)がある場合は特に注意する必要があります。

パイレーツアップデートについては、有力SEOメディアのSearch Engine Landが「The Pirate Update: Google Will Penalize Sites Repeatedly Accused Of Copyright Infringement」にて詳細に報じています。

トップヘビーアップデート(2012年~)

トップヘビーアップデート(Top Heavy Update)は、別名ページレイアウトアルゴリズム・アップデート(Page layout algorithm Update)とも言い、Webサイトのレイアウトに関わるアルゴリズムのアップデートを指しています。

このアップデートによって、ファースト・ビューやぺージの上半分に広告が多数掲載され、メインのコンテンツが少ない場合に、そのWebサイトの評価が下げられるようになりました。

なお、ファースト・ビューに表示される範囲は、ユーザーのデバイスや画面解像度によって大きく異なります。Googleは、この点も考慮して、さまざまな画面解像度における表示をチェックすることを勧めています。

トップヘビーアップデートは、Googleから「Page layout algorithm improvement」にて正式にアナウンスされています。

ペイデイアップデート(2013年~)

ペイデイアップデート(Payday Update)は、ペイデイローン(Payday loan、短期の小口ローン)や、ポルノなどの領域で多く使われるスパム的な検索キーワードに対処し、検索結果の品質を改善するためのアップデートです。

ペイデイアップデートという名称はGoogleが公式に決定したものではなく、SEO業界内の用語です。

ペイデイアップデートに関する一連の経緯は、Search Engine Landが「Google Payday Loan Algorithm: Google Search Algorithm Update To Target Spammy Queries」で報じています。

ハミングバードアップデート(2013年~)

ハミングバードアップデート(Hummingbird Update)は、Googleが複雑なキーワードの処理能力を向上させるためのアップデートです。

従来はキーワード単位の照合を行うことでのみ、ユーザーの検索意図とWebぺージのマッチングが行われていましたが、ハミングバードアップデートによって、長い文章や会話型の文章が入力された際に、その意図を正確に読み解き、的確な結果を表示することができるようになりました。

多くのWebサイトには、検索順位の大きな変動は無かったことが確認されていますが、将来的に広がると考えられる音声検索(ユーザーの口頭の問い合わせに対して会話するように結果を返却する)の入り口となる技術だとも考えられています。

ハミングバードアップデートについては、有名なSEOコンサル会社Mozが、「Google Hummingbird」で詳細をまとめています。

ダイバーシティアップデート(2013年~)

ダイバーシティアップデート(Diversity Update)は、検索結果の多様性(ダイバーシティ)を保つために2013年、2019年に大きな変更が行われたアップデートです。

ダイバーシティアップデートの前は、検索結果に同じWebサイトから複数のページが表示されていました。検索キーワードによっては、同一のWebサイトのページばかりが表示され、ユーザーの多様なニーズに応えているとは言えない状況でした。

ダイバーシティアップデートによって、検索結果に表示されるのは、1つのWebサイト(1つのドメイン)から2ぺージまでとなり、どのような検索キーワードでも、多数のWebサイトが表示されるようになりました。

ダイバーシティアップデートについては、その歴史も含めて有名なSEOメディアのSearch Engine Landが「Google search update aims to show more diverse results from different domain names」で詳細を整理しています。

ピジョンアップデート(2014年~)

2014年、英語圏から始まったピジョンアップデート(Pigeon Update)は、ヴェニスアップデートの精度を上げて、ローカル検索の品質を高めるためのアップデートです。以下のような変更が行われました。

・Googleが持つ地域情報の精度を向上させ、より正確かつユーザーに近い場所の結果を表示する。
・Web検索とローカル検索それぞれで別々に動いていたアルゴリズムを統合し、全体として検索の品質を向上させる。(例えば、一部のキーワードで、今まではWeb検索結果と地図検索結果の両方に重複して表示されていたWebサイトが、地図検索結果には表示されなくなる等の現象が起こりました)

ピジョンアップデートは、ローカルなビジネスを行っているWebサイトには、過去最大と言えるほどの大きな影響がありました。

ピジョンアップデート(Pigeon Update)という名称を付けたSearch Engine Landが、「Google “Pigeon” Updates Local Search Algorithm With Stronger Ties To Web Search Signal」で詳細を報じています。

モバイルフレンドリーアップデート(2015年~)

以前のGoogle検索は、PC向けに提供するWebサイトを解析して検索順位を決定していましたが、iPhoneなどのモバイル端末の急速な普及により、この仕組みが時代に合わなくなってきました。モバイル端末からWebサイトを見るユーザーには、コンテンツやUI(ユーザーインタフェース)がモバイル向けに作られたWebサイトを優先的に紹介する方が、ストレスを生まないからです。

そこでGoogleは2015年から、モバイル端末からの検索に対して、モバイルへの最適化が行われたWebサイトを優先して表示するように変更しました。これがモバイルフレンドリーアップデート(Mobile Friendly Update)です。

さらに2018年からは、モバイルファーストインデックス(MFT)の導入が開始されました。これは、PC向けではなくモバイル向けのWebサイトの解析結果を使って検索順位を決定するというもので、SEOの世界を揺るがす大きな変化でした。

モバイルファーストインデックスは、各Webサイトに対して順次、導入が進められました。現時点(2020年4月)で既に多くのWebサイトがモバイルフレンドーインデックスに移行しており、2020年9月には全てのWebサイトが強制的に移行するとアナウンスされています。本当の意味で「モバイルファースト」な時代になっています。

なお、自社のWebサイトがどの程度モバイル対応できているか知るためには、Googleが無料で提供する「モバイルフレンドリーテスト」で定期的にチェックするのが最も確実な方法です。

クオリティアップデート(2015年~)

クオリティアップデート(Quality Update)は、パンダアップデートや、ペンギンアップデートと同じように、Googleの検索順位を決定するアルゴリズムの核心部分を改善するものです。

多数のWebサイトの検索順位が大きく変動しましたが、Googleからの正式なアナウンスはありませんでした。クオリティアップデートという名称も、SEO業界での通称です。

このアップデートでは、以下のような特徴を持つWebサイトの検索順位が下げられました。パンダアップデートやペンギンアップデート同様に、コンテンツや被リンクの品質という基本的な要素がチェックされました。

・ページが他社サイトへのリンク、動画の埋め込み、コピペしたテキストなどで占められ、 オリジナルなテキストコンテンツに乏しいページ
・ファーストビューが広告ばかりのぺージ
・低品質なサイトから大量にリンクされているページ

クオリティアップデートについては、名付け親であるSearch Engine Landが「Was “Phantom 3” A New Google “Quality Update” To Its Algorithm」で詳細を報じています。

ランクブレイン(2015年~)

ランクブレイン(RankBrain)は、2015年から導入が始まったアルゴリズムです。検索キーワードを機械学習を用いたアルゴリズムで解析し、ユーザーの検索意図を分析するためのアルゴリズムです。

機械学習とは、人工知能(AI)の重要な要素技術の1つであり、コンピュータが人間が明示的に指示した通りに動くだけでなく、コンピューター自身がデータを解析してモデルを構築し、自ら動くようになる技術を指しています。

ランクブレインは最初、Bloombergがスクープしましたが、その後、Search Engine Landが「Meet RankBrain: The Artificial Intelligence That’s Now Processing Google Search Results」で詳細な内容をまとめました。

日本語検索の品質向上(WELQ対策第1弾、2017年2月)

通常、アップデートは全世界に向けて順次展開されていきますが、このアップデートは、初めて日本独自に行われました。

特に名称は付けられていませんが、Googleから「日本語検索の品質向上にむけて」というタイトルでアナウンスされたため、”日本語検索の品質向上”としておきます。

このアップデートの引き金は、いわゆるWELQ問題です。2016年、DeNA社運営の医療系キュレーションサイト「WELQ」などの不正確な医療記事が問題視されました。多くの記事は意識の低いWebライターが他社のサイトをリライトして作っており、医学的な根拠が無く、著作権にも違反した内容が粗製乱造されていました。DeNA社を始めとするキュレーションサイトの運営会社は大きな批判を浴び、多くのサイトが閉鎖に追い込まれました。

2017年2月、GoogleはWELQ対策の第1弾として、日本語で提供されているSEO目的の低品質なWebサイトの順位を下げました。

健康アップデート(WELQ対策第2弾、2017年12月)

健康アップデートは、前述したWELQ問題に端を発する低品質サイト対策の第2弾で、2017年12月に行われました。今回も日本国内でのみ展開され、医療や健康、美容、健康食品に関連する、非常に広範囲のWebサイトが対象となりました。

このアップデートの影響は甚大で、日本語の医療や健康に関する検索キーワードの実に60%で、大きな順位変動があったようです。

病院や行政機関などの公的機関や、大手の製薬会社や医療メーカー、専門家が提供するWebサイトの順位が上昇した一方、学問的根拠の乏しい個人ブログや、信頼性の低い「まとめ記事」を集めたWebメディアなどの順位が下落しました。大手企業でも「Naverまとめ」や「Yahoo!知恵袋」などはトラフィックを大きく減らしたと言われています。美容に関しても、信頼性の低いWebメディアが順位を落とし、実店舗を持つWebサイトが順位を上げました。

健康アップデートについては、Googleから「医療や健康に関連する検索結果の改善について」で正式にアナウンスされています。

フレッドアップデート(2017年)

フレッドアップデート(Fred Update)は、2017年に行われた大きなアップデートを指しており、低品質なWebサイトにおいて大きな影響がありました。SEO業界内でフレッドアップデートという呼称がつけられました。(Googleは品質改善のための通常のアップデートだと説明しています)

アップデート直後にGoogleの検索品質ガイドラインも更新され、「過剰な広告は、低品質サイトやページとして扱われる」という一文が追加されました。

そのため、アドセンス(Adsense)やアフィリエイトなどの広告掲載が過剰に行われ、ユーザビリティを損なっているWebサイトが主な対象になったと考えられています。

フレッドアップデートの影響は、SEARCH ENGINE ROUNDTABLEの「Google Fred Update: Big Google Algorithm Update Links Related」で詳しく報じられました。

アウルアップデート(2017年~)

アウルアップデート(Owl Update)は、Googleが、社会的な問題を引き起こすフェイクニュースに対応するために行ったアップデートです。

フェイクニュースとは、事実として確かめることのできないデマのニュースや、明らかに誤解を招くニュース、一般的に”ヘイトスピーチ”と呼ばれるような、特定のグループや人に対して攻撃的・差別的な言説を広めることを目的としたニュースなどを指します。

アウルアップデートによって、そのような内容が掲載されているWebサイトの順位が大きく落とされました。Googleの検索品質ガイドラインにも、「憎悪を広める可能性があるページは低く評価する」と明記されました。

アウルアップデートについては、Googleから「Google 検索における最新の品質向上について」で正式にアナウンスされています。

スピードアップデート(2018年~)

スピードアップデート(Speed Update)は、2018年に導入されました。 検索順位を算出する際の要素に Webサイトの表示速度(Webブラウザで該当のURLにアクセスしてから、Webサイトのコンテンツが表示されるまでの時間)を加えるというアップデートでした。

多くのWebサイトの順位変動を観察してわかったこととしては、表示速度が速いほど検索順位が上がるというよりも、極端に表示速度が遅いWebサイトが足切りにあい、順位を大きく落とされるというアルゴリズムになっているようです。

表示速度に関する詳細な定義は公開されていませんが、Googleの表示速度のチェックツール「PageSpeed Insights」の利用が推奨されています。この点も含めて、スピードアップデートはGoogleから「Using page speed in mobile search ranking」で公式にアナウンスされています。

メディカルアップデート(2018年~)

メディカルアップデート(Medic Update)は、日本国内だけが対象だった健康アップデートとは違い、世界中で展開された大きなアップデートであり、医療関係の情報を扱うWebサイト全般で検索順位が急変動しました。

医療系の分野で大きな影響があったため、メディカルアップデートという名前がついていますが、Googleは医療に限ったものではないとアナウンスしています。実際のところは、いわゆるYMYL(Your Money or Your Life)に関わるWebサイトが広く影響を受けたと考えられています。

アップデートの1週間後に、Search Engine Landが「Google’s Aug. 1 core algorithm update: Who did it impact, and how much?」で、アップデートの内容や影響をまとめています。

BERTアップデート(2019年~)

ユーザーが利用する検索キーワードは極めて複雑でパターンが多く、毎日の検索キーワードの15%は今までに1度も検索されたことがないキーワードです。2019年に始まったBERTアップデート(BERT Update)は、自然言語処理技術によって、そのような極めて複雑なユーザーの検索意図を今まで以上に的確に読み取り、マッチした結果を返すことを目的としており、2015年に始まったランクブレインの流れを受け継ぐものです。2019年10月に英語圏でスタートし、2019年12月に日本語向けにも適用されました。

なお、BERTとは自然言語処理(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)の略称です。

BERTアップデートによるSEOへの影響としては、文章型の検索キーワードを解釈する性能が上がったため、今まで上位表示されにくかったロングテールのWebページ(スモールキーワードが中心のWebページ)が見直される等の変化がありました。

BERTについては、Googleから「Understanding searches better than ever before」で、アルゴリズム適用の前後比較などの詳細な説明がなされています。

BERTアップデートによって、SEOのテクニカルな手法に頼るのではなく、ユーザーの本当に求めていることは何か?どうやったらWebページを通じてそのニーズを満たすことができるか?といった本質的なマーケティングが、今まで以上に求められるようになりました。

アップデートの歴史をふまえて、SEO担当者は何をすべきか?

以上、重要なアップデートを説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。

アップデートの一覧を一通り見てみるとわかる通り、アップデートのほとんどは、Webページの品質を高める(品質が高いページを上位表示する)ことと、ユーザーの検索意図とのマッチングを高める(マッチングの度合いが高いページを上位表示する)ことを目的として行われれていることがわかります。この2点はちょうど、前述したGoogleの検索品質ガイドラインで説明されているPage Quality(ページの品質)と、Needs Met(関連性)という最重要項目と一致しています。

また、Google自身が明言しているように、特定のアルゴリズムや、特定のアップデートに対応することだけを目指してWebサイトのチューニングをはかることは得策ではありません。Page Quality(ページの品質)と、Needs Met(関連性)を念頭に置き、Webサイト全体として最高のユーザーエクスペリエンスを実現することを、SEOの最終的なゴールにしましょう。

なお、Page Quality(ページの品質)の1要素としてSEO業界で言及されることが多いのが、E-A-T(Expertise/Authoritativeness/Trustworthiness)です。つまり、専門性、権威性、信頼性を持つコンテンツは、品質が高いものだと高く評価されるということで、検索品質ガイドラインでも丁寧に説明されています。ただし、Google自身が「What webmasters should know about Google’s core updates」で触れているように、E-A-Tは検索順位を直接決める要素ではなく、人間がコンテンツを評価する際の指針となる概念に過ぎないという点は、SEO担当者なら知っておいて損は無いと思います。E-A-Tを重視してコンテンツの制作や管理を行えば、その結果として、Googleが検索順位を決めるアルゴリズムに合致したものになりやすいということです。

SEOの情報源

Googleは、検索品質ガイドラインをはじめ、ウェブマスター向けのアナウンス、特許情報の公開などを通じて、様々な情報公開を行っています。SEO担当者の方は、このような情報を日々ウォッチすることがとても大切です。重要な情報源には以下があります。

検索品質ガイドライン(General Guidelines)
Google Webmaster Central Blog(日本語版は「ウェブマスター向け公式ブログ」
Google Webmasters(Twitterアカウント)
Google SearchLiaison(Twitterアカウント)

SEO関連の情報メディアでは以下が信頼されており、読者も多いです。

Search Engine Land
Search Engine Journal
The Moz Blog

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